寺師Brand Story 「鹿児島うんまか豚」

旭ファーム株式会社
専務取締役 外川内 健 さま

鹿児島県宮之城。「竹林の里」とも呼ばれる水も空気も綺麗なこの地で、鹿児島うんまか豚を生産している旭ファームの外川内さんに話を伺った。

旭ファーム株式会社 専務取締役 外川内 健 さま


長距離は県で5位、中学校では生徒会長の文武両道


小さい頃は、いわゆる”勉強もスポーツも出来るしっかりもの”
「男3人兄弟の長男であり、私が小学校2年生のときに父を亡くしたことで、父親代わりをしたことも関係していると思います。」と語る外川内さん。
サッカーを始めたことをきっかけに足が速くなり、中学校では1,500m走で県大会5位に入るまでに。
「薩摩中学校では生徒会長にもなりました。生徒会長と言っても、『外川内くん、生徒会の集まりが始まりましたよー』と校内放送で呼ばれるような生徒会長でしたが(笑)」


高専に進学するも中退。自動車整備士の道へ


その後、鹿児島工業高等専門学校 機械工学科に進学。高専在学中に、車に興味を持つ。
「車の整備士になりたいと考え、母親に『高専をやめて整備士になる』とわがままを言いました。女手一つで育ててもらっているのに、心配ばかりかけていました。」
鹿児島高専を4年生で退学した後、自動車整備士の専門学校へ進学。2年間学び、整備士の国家資格を取得し、鹿児島県内にある外車ディーラーに入社。その後、合計3社で整備士として働き、その中でも1社では企業立ち上げから参画する。


旭ファーム株式会社 専務取締役 外川内 健 さま


妻との出会いを機に、いよいよ養豚業へ


整備士として働く中、奥様と出会う。この奥様のご実家が、現在務める旭ファーム。出会った当初はまさか農場で働くとは思っていなかった。
ビジネスの苦労を味わいながらも仕事を続けたいたところ、病気を患い入院することに。
「入院したときに妻の父親(現・旭ファーム会長)が『体を壊すぐらいなら辞めろ』と言ってもらって。」
妻の実家にお世話になるわけにはいかないと意地で働いていた部分もあったが、入院を機に旭ファームで勤務することに。


いきなり任された農場長。ひたすら仕事を覚える日々


外川内さんが入社した年の9月に、旭ファームが木渋農場を新設することになっていた。入社時はちょうど工事をしていた。
「入社後すぐ『お前が木渋農場の農場長をしろ』と会長に言われました。」すぐに大型免許を取得し、豚繁殖農場で2ヶ月間、豚の肥育農場で1ヶ月間の研修を終えた。その後すぐに農場の稼働開始。全てがゼロからのスタート。
「農場スタート時は、先輩からのサポートもいただきながらも、ほとんど1人で運営していました。色んな人の思いもある分、人の3倍速、4倍速で勉強しないといかんだろと思っていました。」
現・会長もほぼ毎日農場には来てくれてサポート。「実質、会長がほとんで農場の運営を見てくださっていました。入社後2年くらいは毎日怒られてましたね(笑)獣医師でもある会長に怒られながら、会長のやることを見て仕事を覚えて行きました。会長から直々に教えていただいたのはありがたかったですね。」


旭ファーム株式会社 専務取締役 外川内 健 さま


仕事を覚え始めた頃に襲ってきた、口蹄疫・PED等の病気


入社して2年経った年に口蹄疫、その3年後にPED(豚流行性下痢)という、農場長としては忘れられない病気が流行。「病気の怖さを知りました。病気を持ち込まないように徹底的に消毒をしました。なにより、農場の仲間がいることのありがたみを感じました。」


豚のために、人のために


肥育のシステムも変わっていった。豚の衛生状態を改善するため、豚が過ごす床材が乾燥するように豚舎移動を増やした。豚が狭い豚舎の中で過ごすのでなく、自由に行き来が出来るようにもした。「徹底して豚が快適に過ごせるように、農場の仲間にも負荷がかかりすぎないようにしていきました。豚にも人にも無駄な労力をかけず、必要なことに注力出来るように。」
現在は専務として木渋農場だけではなく各農場を回る。「種付けして、繁殖舎、肥育舎で育てて、食肉として出荷するまでが一連の仕事ですからね。一連の流れでみんなが同じ方向を向けるように、各農場を回っています。みんなの頑張りを結果に繋げるのが仕事なので。」


旭ファーム株式会社 専務取締役 外川内 健 さま


今でも忘れられない命


旭ファームに入社してから今までの思いの変遷を聞いた。
「農場に入った頃から今に至るまで『出荷するまでは、豚1頭たりとも病気で死なせない。命をいただく以上、全部の豚をきっちり見る。』という思いはあります。今でも初めて死なせてしまった豚のことは覚えていますよ。生き物のために、やれることは全部やろうと思っています。」
新しい情報や考えも積極的に取り入れている。「今は、命を大切にすることももちろんのこと、いかに豚をうまく飼えるかを考えています。海外での生産事例をアメリカに見に行ったり、外部の方々と交流したりする中で、新しい意見や考えを生産体制に取り入れています。」


豚にかける思い、畜産業にかける思い


これから大切にしていきたいことを聞いた。
「昔は前しか見ていなかった。これからは『3歩進んで2歩下がる』じゃないですが、振り向きながら前に進んで行きたいです。」

暇が嫌いな外川内さん。仕事に対しての思い入れは強い。「誰よりも先に農場、会社に来る。責任者だからこそ早く来る。」
生き物を相手にするからこそスピードが大切。「遅くて良いことは何もない。豚は代謝がいいからこそ、すぐに動けば助かる命が、遅れることで助からないこともある。たった5分の行動を面倒くさがるのが人だと思うけど、今日できることは今日していきたい。」
畜産業のイメージアップも考えている。「この仕事は一生かけていく仕事だと考えている。畜産のイメージアップにも努めたい。仲間には『汚れることに平気になるな』と伝えています。農場に入る前に衛生面のためにはシャワーに入るけど、農場を出るときもシャワーを浴びて帰るように言っています。コンビニとかでにおいをさせないように。」


旭ファーム株式会社 専務取締役 外川内 健 さま


人の都合で考えない。豚のために何が出来るのか


「人間の都合で考えずに、豚のために何が出来るか。生き物を育てるということは、すぐに結果が出ないからこそ大変。そして1人でやれることは限られている。専務として社長を支えていきたいし、農場全体の仲間と一体になって真摯に取り組んでいきたいです。」
家族との時間も大切にしていきたいと話す外川内さん。「仕事も本気、家族も本気で行きたいと思っています。今は実行率50%程度ですが。」

豚のために、ともに働く仲間のために、畜産業全体のために、家族のために。
ゆっくりと、しかし力強く話す外川内さんの顔は、かっこよかった。


写真:川越 亮 文:寺師 大策

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Update on : 2017.06.26